子犬探しの前に必読!トイプードルの遺伝病PRAについて
ブリーダーがPRA(進行性網膜萎縮症)の遺伝病検査をしているか?
トイプードル探しの際は子犬がPRAの遺伝病にかかる可能性がないかチェックすることが重要です。
生体価格の安さを理由に購入することや、お顔が可愛いからと衝動買いは要注意です。
PRAは遺伝病ですので、両親犬がPRAの検査をしていて、ノーマルもしくはキャリアでしたら、問題ありません。
ノーマルはその名の通り正常ですが、キャリアもノーマルと同様に生活していくうえで目に異状を来すことはありません。
そのため、遺伝病に関心がないブリーダーは検査をせずに「うちの繁殖犬は何も起きていないから大丈夫」と思って遺伝の事は気にせずに交配をしてしまいます。しかし、キャリアの父とキャリアの母を交配すると4分の1の確率でアフェクテッド(将来的に失明してしまう)子が産まれてしまいます。
某ペットショップ量販店の調査によると、販売しているトイプードルの子犬をPRA検査した結果、ノーマル66%、キャリア31%、アフェクテッド3%という報告があります。キャリアは意外と多く、検査をしないブリーダーがラインブリードを続けていると将来的にはアフェクテッドの産出が増える可能性が大きいです。
遺伝病で苦しむ犬を増やさないように遺伝病予防の意識を高め、検査結果をもとに慎重に繁殖をしなければいけません。
プードルライフではトイプードルの繁殖犬にPRAの検査をし、子犬が健康で生活していくために遺伝性疾患を発現しないように努力しています。
進行性網膜委縮症(PRA)とは
光を感知する網膜が変性退化して萎縮し続け、次第に視力が低下して最終的には失明してしまう目の遺伝性疾患でトイプードルをはじめ多くの犬種で見られます。
眼後部内側の網膜には、光受容体と呼ばれる細胞があり、この網膜にある光受容体は、角膜と水晶体によって光を吸収し、その光の情報は視神経を経由して脳に伝え、視覚映像として認識させる器官です。この光受容体は、二つの錐体により成り立ち、暗闇で物を見るためのものと日中の視野や色覚を認識するためのものです。
PRAは杆体が機能低下しますので、次第に夜盲症の症状が見られるようになります。
暗い所では物にぶつかったりしてしまうので、不安げな行動をとったり、暗闇で歩くのを嫌がるようになってしまいます。
症状が進行するとさらに錐体の機能低下します。
明るい場所でも見えにくくなり、動きが鈍くなったり、ものにぶつかったり、呼びかけに対する反応が鈍くなったりします。
このような行動が昼夜を問わず訪れるようになります。
病気進行に伴って網膜が委縮して視覚低下が起こります。
瞳孔が常時散大し、検眼すると眼底からの光反射は明るさを増すことになります。
さらに委縮変性した網膜の光受容体から放出される化学物質は、水晶体を白濁させます。
そのため、二次的に白内障が併発する可能性が高くなります。
トイプードルのPRAは遅発型のグループに入り、2~7歳までに発症するのが大半ですが、10歳を過ぎてから発症する場合もあります。
発症が遅い方が、環境に順応しているので、視覚障害への対応もスムーズです。
失明をしたら、視力を回復することは不可能です。
遺伝子変異は下記の図のように一定の確率で子孫へ受け継がれます。トイプードルの遺伝病のリスクを減らすためにも、ブリーダーがPRAの検査を行い適切な繁殖を行うことが重要です。
常染色体劣性遺伝形式
[ 〇 ] ノーマル × ノーマル = ※全てノーマル
|→ ノーマル
|→ ノーマル
|→ ノーマル
|→ ノーマル
[ △ ] ノーマル × キャリア = ※ノーマル50%、キャリア50%
|→ ノーマル
|→ ノーマル
|→ キャリア
|→ キャリア
[ × ] キャリア × キャリア = ※ノーマル25%、キャリア50%、アフェクテッド25%
|→ ノーマル
|→ キャリア
|→ キャリア
|→ アフェクテッド
[ × ] ノーマル × アフェクテッド = ※全てキャリア
|→ キャリア
|→ キャリア
|→ キャリア
|→ キャリア
[ × ] キャリア × アフェクテッド = ※キャリア50%、アフェクテッド50%
|→ キャリア
|→ キャリア
|→ アフェクテッド
|→ アフェクテッド
[ × ] アフェクテッド × アフェクテッド = ※全てアフェクテッド
|→ アフェクテッド
|→ アフェクテッド
|→ アフェクテッド
|→ アフェクテッド
ノーマル・・・両親から正常型の遺伝子を受け継いでいる
キャリア・・・片親から変異型と正常型の遺伝子を受け継がれている。(繁殖の際は注意が必要)
アフェクテッド・・・両親から変異型の遺伝子を受け継がれている。(繁殖には適していない)